こんな世の中だからこそ、お釣りを渡す時は手を添えるべきだ
女性の皆様。
お釣りを渡す時は手を添えてますか?
男性の皆様。
お釣りをもらう時は手を添えてもらってますか?
草食系男子
経営不振
食品ロス
これらのような社会問題が、お釣りの渡し方で一つで改善するであろう法則を発見しましたので、ここにご報告させて頂きたく思います。
私がこの様な考えに至ったのは、埼玉県の大宮で個人経営しているうどん屋に行ったことがキッカケです。
当該うどん屋は手作り麺が売りで、店先の看板にもデカデカと『手作り麺』である旨が書かれており、その文字は手書きの様な、まるで素人が書道の達人のマネをした様な、そうそれは、高校のお調子者が120%の感情を込めて−300%のテクニックで書いたような文字を看板に刻み営業しておりました。
なんといいましょうか。私はとてもお腹が空いていたのです。
『もうどこでも良い、なんか食いたい』
こんな状況であったために、この怪しいうどん屋に入店することとなったのです。
入店してすぐに野菜や果物が販売されているのが目にとまります。
手広くやっております。怪しいです。
しかも『自家栽培』的な雰囲気を醸し出しながら、値段は相場通りです。ますます怪しいです。
席に案内され、おばちゃん店員が笑みを浮かべながら、水とおしぼりを渡してきます。
餓死寸前だった私は、水とおしぼりを渡されたタイミングですぐさま『肉うどん』を注文しました。
しばらくして肉うどんが到着しました。
すると、どうでしょう。
まぁ、手作りですもんね。
しかし、これはいかがでしょうか。
麺が太いです。
しかしこれは『太麺』というジャンルにカテゴライズできません。部分的には細麺で、部分的には極太です。
この段階で既に私は
『あぁ、手作りですよぉ〜って感じを前面に押し出すタイプの店なんだなぁ〜、あぁ〜まぁぁそうなんだろうなぁ〜、きっとそうだなぁ〜、怖いなぁ〜怖いなぁぁ〜』
と思っておりました。
しかし問題は味です。
味が良ければ全て良し。結果が全てです。
結果が良ければ全てが許される。この世の中は結果を出した人間には誰も逆らえません。
どんだけ手作りだろうが、麺が細かったり太かったりしてようが、野菜を売ってようが、店員がおばちゃんだろうが、味が良ければそれら全てが意味のあるものになるのです。
いざ実食です。
ぅん……、うどんはやっぱコシですよね。
コシですよ。
ぅん……?
んぅ……ん?
コシってこんなだっけ?
コシってどんなだっけ…?
あぁ…怖いなぁ〜、やっぱりそうだなぁ〜
太い部分が半ナマだなぁ…怖いなぁ〜
見事に予想的中でしたが、持ち前の気合いと空腹でなんとか完食しました。
最近の世の中は、インターネットや書籍であらゆる情報を手に入れることが出来ますが、その環境に身を置きながらにして、このクオリティーのうどんを提供するのは時代錯誤のレベルと言っても良いでしょう。
そしてお会計です。
おばちゃん『ありがとうございます、890円です』
※終始笑顔
私『1000円でお願いします』
おばちゃん『はい、110円のお返しです』
おばちゃん『レシートいりますか?』
私『はい』
おばちゃん『ありがとうございましたぁ』
私『……?!』
なんて柔らかい手なのでしょうか。
なんて愛らしい笑顔なのでしょうか。
なんて優しい声なのでしょうか。
なんて美しいおば様なのでしょうか。
なんて新鮮なお野菜なのでしょうか。
なんて味のある看板なのでしょうか。
なんて食べ応えのあるうどんなのでしょうか。
なんて良い店なのでしょうか。
……ていうね。